ちょっと思いついたバツセシ話。
あまり深い事は気にしないで読んで頂けると幸い。
突発で思いついたまま書いてるので、おかしいぞをいって部分があると思う。
DFF後のパラレル設定。セシル視点です。

僕は今、バッツと一緒に当ての無い旅をしている。
ここは、彼の世界。何処となく僕がいた世界と似た雰囲気だけど、まったく知らない世界だ。
消える間際、彼が差し出した手を僕は迷わずに取った。
この戦いが終わっても自分の世界には帰りたくない……ずっと前にそう呟いた事を覚えていてくれたんだ。
その時は理由も聞かれなかったから聞き流されたかなって思ってたけど。

『本当に後悔してないのか?』

彼の唐突な質問に一瞬何の事かと首を傾げそうになった。けど、ああ、彼の手を取ってこの世界に来た事かと直ぐ思い当たった。
今日は目の前に広がる湖の畔で野営をしようという事になって2人で手分けしてテントを張ったり準備をしていた。

『うん、後悔はしてないよ。どちらかというとスッキリしてるかな』

『ふぅ~ん』

『よし、こっちは準備出来たよ』

『じゃあ、湖で魚でも獲ってメシにするか。セシルは火見ててくれな』

そう言うなり服をさっと脱ぎ捨て水の中へ勢い良く飛び込んで行ってしまった。

僕は片づけが終わったら水浴びでもしようかと考えながらぼんやりと焚き火を見つめていた。


それから程無くして2人でそんなに食べきれるの?!って量の魚を捕まえて笑顔で戻ってきた。
干し肉を使ったあっさり味のスープと焼いた魚を囲んで何気ない話をして……
僕が先に寝て、途中で見張り役を彼と交代する事になった。

----

テントからそっと出たつもりだったけど、彼は気が付いていた。

『交代にはまだ少し早いんじゃないか?』

『うん、けど、なんか目が覚めちゃって…』

彼が座っている隣に腰を下ろし空を見上げる。
先に沈黙を破ったのは彼だった。

『なぁ、何で元の世界に帰りたくないなんて言ったんだ?』

『自由になってみたかったんだ』

元の世界に帰れば、国王としての職務が待っている。
職務放棄だと言ってしまえばそれまでだけど。それは十分承知の上だ。
けど、彼の元の世界での話を聞いていたら、自由奔放な当てのない旅。それに凄く惹かれた。
元の世界でも仲間と共に旅をした事はあった。でも、目的がはっきりしていた。
ずっと縛られていたから……自由ってどんな感じなのか知りたかった。
あの世界で彼に出会わなかったら、きっとこんな事は思わなかったはずだ。

『そっか。本当に後悔してないんだな?』

後ろめたさはないと言ったら嘘になる。
けど、今こうして彼と一緒に旅をしている事は凄く楽しい。だから後悔はしていない。
彼と一緒に旅をして、同じものを見て、感じて、触れて……

『っ!?』

気が付いたら口を塞がれ押し倒される格好となっていた。
今こんな事したらキミが寝る時間なくなっちゃうよと抗議してみたのだが。
ま、何とかなるさと返され効果はなかった。

『このまま、元の世界に帰さないからな?』

思いの外長くなった。
セシルって自由って言葉と無縁な生活じゃないかなと思ったのでちょっと我侭言わせてみましたが、きっと本当の彼ならそんな事言わないよなって思ってます。

結局バッツさんあの後キスだけで止めて寝るって言ってセシルの太腿を枕にして寝ちゃいましたというオチがあります。
寝るならテントで寝ないと疲れ取れないよって言ってもセシルの膝枕の方が良いって言って聞かないので、仕方なく毛布取って来て掛けてあげるんです。