携帯灰皿片手にベランダで細く息を吐く。
勿論此処は自分の部屋のベランダなのだが、何で自分の部屋なのにベランダで煙草をふかしているのかと言えば、隣人のセシルが煙草の臭いを嫌がるからなのだ。
吸い始めた当初部屋で吸ってたら暫くセシルが部屋に来ない所かセシルの部屋にも入れてもらえなくなったという事があり、部屋にいる時はベランダで吸うようにしているのだ。
ホント喫煙者の肩身が狭い狭い…
僕と煙草どっちか選べって言ったらどうする?って聞かれて焦った事もあった。でも煙草止められないしセシルも手放したくない。
暫くぼーっとしながら煙草をゆっくりふかす。
消えていく白い煙を見つめながら。

鼻歌交じりに手際よくフライパンを動かす。
水で溶いた片栗粉を少し落としてとろみがついたら素早く火から下ろして皿に盛られたご飯の上にかける。

『うん、上手くできた!』

カニ入り餡掛け炒飯の出来上がり。
出来映えも味も上出来。
勿論2皿分。
エプロンを外しながら携帯を開き慣れた順番でボタンを押して。
相手は直ぐに出た。

『ご飯出来たよ』

『ん、わかった、直ぐ行く』

短いやり取りだけで直ぐに切る。
それから冷蔵庫から冷やしてあった烏龍茶を取り出しグラスに注ぐ頃には電話の相手、隣人のバッツが部屋に入ってきた。

『冷めないうちに食べよう』

テーブルにつこうとしたセシルの腕を掴んで引き止める。

『何?』

自分の方へとぐっと引き寄せセシルの形の良い顎に軽く手をかけ顔を近づけ様とした所で、セシルに手のひらで顔を押し返された。

『ぶっ!!』

『キスする前に煙草吸わないでって言っただろ?!臭い取れるまで触るの禁止!!』

部屋から追い出さないだけマシだと思いなよ?と怒りながらさっさとテーブルについてご飯を食べ始めてしまった。
やっぱり喫煙者の肩身が狭い…
仏頂面のセシルを眺めながらの食事となってしまった。

フォロワーさんがタバコを吸うバッツが格好良いと言う話から発展した54現代パロ話。
たしかに格好良いと思います。でも私もタバコの煙が苦手なんだ、ゴメンよ…(笑)