フリ→セシがフリセシになるお話です。
予告漫画も勢いでやってしまったので全力で頑張りますが、予告にあった通りR-18を含む話なので、それっぽくなってきたら裏に放り込もうかと思います。それまではこのまま表に放置します(表にある間は年齢制限無いと思っていただければ…)
予定では1章がくっつくまで、2章がくっついた後の2章立ての少し長めの話になるかと…
あくまでも現時点での予定ですがね(´ー`)

 

フリオニールは俯きながらぎゅっと固く手を握り締めていた。
彼の眼下にあるベッドには頬に淡い影を落とす程長い睫毛に縁取られた瞳はかたく閉じられ、血の気がまったく感じられない蒼白の顔をしたセシルが寝かされている。
体温がいつも以上に低く少しでも強く力を入れたら簡単に折れてしまうのではないかと思わせるとても同性とは思えない白く細い手を戦士らしい褐色の大きな手で包むように固く握りしめたままフリオニールはもう何時間もそうしたままその場を動こうとしない。

控えめにドアを叩く音が聞こえたが、顔を上げようともせずじっとセシルの顔を見つめたままでいる。
やや間を置いてドアを開けて部屋に入ってきたのはクラウドだった。

『フリオニール。少し休め』

そう言いながら真横までやってくるとセシルの首筋に手を当て脈を確認しているようだ。
まだ脈は弱いか。体温も低いな。そう言ってフリオニールの顔を横目で見るが、普段の彼からは想像できない程表情が消えてしまっている。

『心配だろうが少し休め。アンタまで倒れたらどうするんだ。目を覚ました時アンタの笑顔が見れなかったらセシルが悲しむだろ?』

それに、心配なのは俺たちも同じだと告げフリオニールの肩をそっと叩く。

『……ああ、そうだな』

『キッチンでティナがスープを温めて待ってるから早く行ってやれ。セシルは俺が見てるから』

『……ん、頼む…』

そう言いながらもセシルの手を離すのを躊躇っていたが、離して毛布を掛け直すと直ぐ戻るからと残し部屋を後にするのをじっと見ていた。
思っていたよりは足取りはしっかりしているようで少し安心した。
あっちはウォルに任せるかと考えフリオニールが先程まで座っていた椅子に座り、まったく此処には色んな意味で問題児が多いなと1人呟く。
1番の問題児は優等生を装った我が身をかえりみない無茶を平然とやってのける今は意識のないこの騎士で間違いは無さそうだが。
一体、この騎士の身に何が起きているのか…

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『せっかく温めたのに来てくれなかったらどうしようかと思ってたの』

ダイニングに足を踏み入れたフリオニールに気が付いたティナは今用意するねと笑顔を向ける。
キッチンと対面しているカウンターに備え付けてある椅子に腰を下ろすとテーブルに肘をついて頭を乗せゆっくり息を吐いた。

『ね。心配なのはわかるけど…自分の身体の事も気にしてあげて。今はセシルよりフリオニールの方が心配なの』

『俺は…』

『あのね。セシルは大丈夫だから。今直ぐは意識戻らないけど、でも大丈夫だよ』

『ティナ?』

伏せ気味だった顔を上げ不思議そうな表情をしていると、波動を感じるの。
そう言って温かな湯気を立てるスープとパンを乗せたトレイをフリオニールに渡して隣の椅子に座る。

『セシルのはね、弱いけど安定してるの。でも、フリオニールのは少しずつ弱くなってるから。だから心配なの』

『……』

『皆、一緒だよ?』

『……そう、だな』

キッチンから少し離れたリビングのソファーに座って本を読んでいたウォルは、私が出なくても大丈夫だったみたいだなと思い、再び目で文字を追う作業に戻る事にした。

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事の始まりは突然だった。
その日はフリオニール、セシル、クラウド、ティーダのいつもの4人で素材集めに出ていた。
フリオニールとティーダでどちらが1回のバトルで寄り多くライズ出来るか競ったり、クラウドはイミテーションをどれだけ遠くに吹っ飛ばせるかを試したり…何気ない何時も通りの風景だった。

『楽勝ーっスね♪』

『くそー、今回は自信あったのに!!』

『フリオニールはラック低すぎー』

『ラック低いって言うなッ』

嬉しそうな笑顔で持ってたフラタニティをしまうティーダに対し、フリオニールがこれでも命石にライズアップまで持ってるのにと愚痴りつつ、本気で悔しいらしく頭を抱えて憤慨していると、遥か頭上に白く柔らかな光が現れる。
その光はゆっくりと優雅に舞うように降りてくると、まるで重力など感じてないのではないかという軽やかさで地面にトンっと足を着け数歩歩みを進めて止まると肩に掛かっていた髪を後ろに払いふぅと短く息を吐き呼吸を整えた。

『お帰りー。やっぱセシルの着地の瞬間はいつ見ても特に綺麗っスね。見惚れちゃったっスよ』

『ふふ。イミテーションにまて見惚れちゃダメだよ?』

口元に手をやりクスっと柔らかな笑みを浮かべる。
本当にセシルは仕草の1つ1つが優雅だ。以前誰かがそんな風に賞してたが、まさにその通りだとティーダは思った。

『確かにセシルのイミテーションも綺麗だけど、やっぱり本物のセシルには適わないっスよ』

『輝きの質も全然違うしな』

声がした方へ視線を向けると愛用している巨大なバスターソードを軽々と肩に担ぎながら軽い足取りでクラウドが此方へ歩いてくる所だった。

『あ、クラウドもお帰り』

『ああ、ただいま。所で、フリオニールが黙ったまま動かない様だが何かあったのか?』

『あれ?……おーい、のばらー?』

ティーダがフリオニールの顔の前で手をひらひらさせてみるがまったく反応がない。

『あー。さっきのセシルに見惚れて完全に固まってる…というよりブレイブブレイクしちゃったみたいっスね』

『え、僕の所為?』

申し訳なさそうな表情を浮かべフリオニールの顔を少しだけ首を傾げるようにして覗き込む。
そこでトドメをさしてどうするとクラウドが突っ込むが、自覚してない癖なのか小首を傾げた当人はわかっていないようだ。

『勝手にブレイクしてるだけだからセシルは気にする事ないっスよ。それより上空からの眺めはどうだったっスか?』

『え、あ、うん。この近辺にはもうイミテーションは見当たらないから、まだ狩るなら他の場所に移動した方が良いかなって』

『それじゃあ、移動するっスかね。まだまだ物足りないし』

『そうだな』

『のばら、いつまで固まってるんだよ。置いて行っちゃうぞー』

クラウドは何処で狩りたい?と相談しながら未だ固まったままなフリオニールを置いて歩き出す3人であった。

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静寂と闇が一面に広がり、遠くには青く幻想的に浮かび上がる建造物と背後には一際まばゆく光り輝く青き星が見える。
ここはセシルの実兄であるゴルベーザが支配する領域。月の渓谷と呼ばれる場所である。

『セーシルっ、ゴルベーザ探してるッスか?さっきから何かそわそわしてるみたいだけど?』

『ん。そういうわけじゃないんだけど…』

兄さんは僕がここに足を踏み入れれば分かるみたいだからと微笑みながら呟く。

『会いたいなら会ってきたら良いと思うッスよ?』

『ううん。一応敵同士だからね。それよりイミテーション探そう?』

『セシルがいいって言うなら…あ、じゃあ見かけたら捕まえておくッスよ』

全開の笑顔を向けるティーダにセシルは苦笑交じりに返す。

『無茶はしないでね?』

ティーダ達が一緒だから兄さんは姿表さないだろうなと口には出さずに想いと一緒にしまい込んで上空を見上げると漆黒の闇に無数の星が光り輝いている。
やはりここに来るとホッとするのだろうか表情が普段以上に穏やかになっている。

『あー、いたいた。まったく、セシルまで俺を置いていくなんて酷いじゃないか』

振り向くと走ってきたのか息を弾ませているフリオニールが立っていた。

『ふふ。ごめんね』

くすくすと笑いながら柔らかい笑みを浮かべるその笑顔は反則だ…と内心で動揺しつつも顔に出さないように必死に平然を装う。

『固まってるフリオニールが悪いッスよ』

『うっ…』

『まったく、まだまだッスねのばらは』

『わ、悪かったなッ』

折角顔に出さないように頑張っていたのに顔が少し赤くなってしまったのをセシルに見られまいと慌てたが、肝心のセシルがティーダの方を向いていたので見られないで済んだらしい。

『ティーダはフリオニールとさっきの続きやるかい?』

『んー、どうしようかなー。このままやってもまた俺の圧勝になりそうだしなぁ』

やる前から俺の負け決定かよと突っ込むと、にぱーっという効果音がぴったりな笑顔が返ってきた。

『ふふっ。ホント仲が良いね、2人とも』

『えー。俺はフリオニールよりセシルともっと仲良くしたいッス』

セシルの両手をぎゅっと握ってじっと目を見つめるが、僕だけじゃなくてクラウドともねとやんわりかわされてしまった。
やっぱりセシルはガード堅い。そして後ろから無言で睨み付けてる視線は無視する事にした。

『これからどうするんだ?』

『そうッスね…』

セシルは何か案あるッスか?と聞こうと振り向いたら俯くように顔を地面に向けたので、どうしたのかと口を開いた次の瞬間、銀糸の様な髪がふわっと広がりその場に力なく崩れ折れた。

『セシルッ!!』

フリオニールが支えようと手を伸ばしたがセシルから1番離れた場所に立っていた為間に合わなかった。
駆け寄り抱え起こすと普段から血色は余り良いとは言えない白い肌からは完全に血の気が失せていた。

『セシル、セシル!!』

頬を軽く叩いても全く反応が無い。 呼吸はしているが…浅い。

『取り合えず連れて帰った方が良いかもしれない。このまま此処にとどまるのも危険そうだ』

『……ああ、そうだな』

この状態でイミテーションに見つかったら流石に不利だ。
それに、ティーダがこの事態に呆然としてしまっているのだ。

『クラウドはティーダを頼む。俺はセシルを運ぶから』

『大丈夫か?』

『大丈夫だ。セシルは軽いからな』

そう言って抱き上げ掛けてその事に気が付いたフリオニールの動きが止まった。

『……セシル…?』

『どうした?』

『鎧を着ているのに軽く感じるんだ』

明らかに痩せ過ぎだと日頃から指摘されていたが…これはまた少し痩せたんじゃないか?と思う。 恐らく眉根を寄せているクラウドはフリオニールと同じ事を思ったのではないかと思う。

『セシルが目を覚ましたら栄養価の高い料理を作って無理矢理にでも食べさせないとだな』

やはりそうだ。

『ああ、そうだな』

そのためにはまず、連れて帰らないとだとセシルを抱きかかえ直した。
クラウドが居てくれた事に感謝した。もしこれで自分1人だったら此処まで落ち着いていられなかっただろう。

――セシル、一体どうしてしまったんだ!?

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セシルは隠し事が上手い。 特に自分自身の事となると何かあっても平然を装い、他者が一定の領域を越えて踏み込もうとするとそれを全力で拒絶する事さえある。
逆に仲間が隠し事をしているとそれを見抜く力もずば抜けていた。
今回も意識を失い倒れる程の体調不良を抱えながらも、周りにそれを悟られないように隠していた。 周りには9人もの仲間が集っているのに、倒れるまで誰1人としてその事に気が付かなかったのだ。
どうして言わなかったんだと問い詰めても、きっと皆に心配掛けたくなかったから。そう返ってくるはずだ。
セシルは他人の心配を第1に、自分の事は後回しにする性格だ。 自分を犠牲にして傷を負ってでも他者を救おうとする。それが当たり前になっているのだ。
もっと自分を大事にして欲しいのに。 騎士は仲間や弱き者を守るのが役目なんだから。そう返されるだろうけど。 なら、その騎士を守るのは……?

頑張れば秩序側全キャラ出せそうなので頑張ります!と言うのが密かな目標。
フリオとセシルに偏った話になるのは間違いないと思いますが。