セシルがパソコンに向かいレポートの清書を行いながら時々片手を伸ばす先には細長いスティック状のチョコレート菓子の箱が置かれている。
先程近くのコンビニに買い物に出掛けたバッツが買ってきたものだ。

『なぁなぁ、1本頂戴?』

セシルのノートを書き写していたバッツが手を止めてセシルの方へと身を乗り出してきた。

『キミからも届く場所に置いてあるんだから食べれば良いじゃないか』

チョコレート菓子が入った箱はセシルとバッツのほぼ真ん中(2人はテーブルの角を挟んで座っている)に置いてあるのでどちらからも手が届くのだが…
そして言ってから気が付いた、バッツが一体何がしたいのかが。

『ホント好きだよね、そういう事』

『年1回のイベントなんだからのらなきゃ損だろ?』

損得なんてあるのかと思ったが、些細なものだろうとお祭り大好きな隣で期待の眼差しを向けて来ているこの恋人にはきっとあるのだろう。

『1回だけだからね?』

『流石セシル♪』

先端迄チョコレートがコーティングされている方の端を咥えてバッツに顔を近付けると反対側の端を咥えた瞬間に一瞬だけニヤッと笑みを浮かべた事に気が付いたのだが、ポッキーゲームを口実にただキスをしたかっただけだと言う事に気が付いたのは2人の唇が重なった後だった。

『ご馳走様でした』

そう言って唇を一旦は開放したのだが、今度は唇の端をぺろっと舐めてきた。

『口の端にチョコが付いてた』

セシルの顔を見たら真っ赤になっていたのは言うまでもなく。

必要以上に短いですが、11/11のイベントに乗っかってみた。
これがやりたいためにコンビニにポッキーを買いに行ったと思われるバッツさん。
ホント、お祭り事大好きだと思います。