『おいおい、そんな顔すんなって。折角の美人が台無しだぜ?』

スマイルスマイル、な?とバッツは笑いかけるが、目の前にある顔は変わらず面白くないという表情のままだ。
その理由というのが、黒を基調としたシンプルだが所々に甘さを取り入れた胸元とふんわりと広がるフリルの付いたスカートに可愛らしいリボンがついているワンピースに、穿き口に繊細な白いレースと細い白いリボンがついた黒いオーバーニーソックスを身に付け、髪はアップにし黒いレースのリボンを付けているので一見女の子に見えなくもないのだが、紛れもなくセシル・ハーヴィ本人だった。

『まったく……。昨日の今日でこれだけ揃えるなんて無理だよね。以前から用意してたんだろう?』

『細かい事は気にすんなって♪』

この恋人の用意周到さは呆れるを通り越して見事だと思う。その対象が自分と言うのが物凄く不本意だけど。
悔しいので睨み付けてやった。この格好では何の効果もなさそうだけど。

そもそも何故セシルがこんな格好をする羽目になったのか。それは約1ヶ月前に遡る事になる。

セシルとバッツは同じ大学に通う学生で、学期末試験が近づくある日、突如バッツが"一緒の科目のみの総合点でセシルに勝てたらご褒美頂戴?"と言い出したのだ。
2人は学部は違うが(セシルは経済学部、バッツは国際文化学部)一緒の授業を幾つか取っているのでお昼前後に一緒になる授業があるとランチを共にする事が多いのだ。
マカロニをフォークで突付きながら勝てる自信あるんだ?と訊ねると、セシルがご褒美くれるなら頑張れると思うんだよなと返ってきたのだ。

『それじゃあ、こうしようか。バッツが僕の手を借りずに一緒の科目の総合得点で僕を上回る事が出来たらご褒美をあげる。その代わり僕の方が上だったら僕のお願いを聞いて。それでどう?』

『OK、それで行こう。あ~、試験楽しみだなぁ♪』

こういう時のバッツは持ち前の幸運も手伝って普段の実力以上の力を発揮するので油断は出来ないのだ。 高校の時からの付き合いがあるので重々承知していた。

それで、昨日結果が出たのだが……。

『どれか1科目でもセシルが満点取ってたら負けてたんだよなぁ』

極僅差でバッツが勝ったのだ。
で、バッツがねだるご褒美というのがセシルの予定が空いている休日丸一日をおれに頂戴と言うものだった。
丁度今日、お互い予定が空いていたので今日にしようかと言う事になり、朝からバッツの"お願い"を聞く事になってこんな格好をしているのだ。

――だからって何で女装なんだ。

『よし、朝ご飯食べたら出かけようぜ♪』

『えっ!?ちょっと、この格好で外に出ろって言うのかい!?』

『勿論!ちゃ~んとエスコートするからどーんとおれに任せろ!』

悪夢な(バッツにとっては本当に楽しい)1日になりそうだ。

現代パロで大学生なバツセシ。
セシルに女装をさせよう!から出来たネタです。
ロリータファッションは見るのも描くのも大好きなので幸せでしたヾ(*´∀`*)ノシキャッキャ
現代パロだとセシルはバッツより体格細い設定なので(身長は高いですが…)女装させるとモデルで通用しそうな感じですwww
また、機会があれば女装ネタは書いてみたいです♪