今、この"家"にいるのは2人だけ。
他のメンバーはそれぞれの用事の為出払っていた。
俺の直ぐ隣に座り両手でマグカップを包み込むように持つその手を見る。

(指、細過ぎだろ。それに腕だって…これで俺より力があるから不思議だ)

さり気なく腰に腕を回して自分の方へ抱き寄せてみた。
腰も細い。
それでも俺と身長は殆ど変わらない。

『ひゃあッ?!』

普段であれば彼はこんな声は上げない。
それだけ気を抜いている証拠だ。
それはそれで嬉しい事だが。

(不意打ち成功だ)

ニヤリと笑ってみせる。

『もう!マグカップ落としたらどうするんだい?』

(耳まで真っ赤だ。ますます可愛いな)

『だ、誰の所為だと思っ…~ッ!!』

目の前にあったやわらかそうな朱に染まった頬にキスをする。
勿論、マグカップを持つ手は支えて。

『うぅ~…』

潤んだ瞳で頬をちょっと膨らませている。
それがますます可愛い。

(こういう表情を見せられると俺より年上なのかを疑いたくなる)

『キミの前だからだよ…』

(当たり前だ。俺以外の奴の前でそんな顔見せるのは許さないからな)

マグカップを取り上げテーブルに置くと押し倒していつもの薄紫の口紅を付けていない淡い桜色の唇にキスを。

『んっ……』

離す時にぺろっと唇を舐める。

『甘いな』

セシルの唇はミルクと蜂蜜の甘い味がした。

不意打ちで甘めのスコセシです。
きっと、スコールの心の声はセシルには普通に伝わって会話が成立すると思います。
最初スコールが凄い吃驚しただろうなぁ。
普段は仲の良い兄弟風で主導権はセシルにありますが(兄:セシルに頭の上がらない弟:スコール)こういう時はスコールに主導権があると良いと思います。
ただ、セシルは凄い鈍感な部分もあるので、本当に伝えたい事はきちんと声に出して言ってくれるはずです。