奥手同士をくっつけるぜ大作戦!【DFF】
"家"の庭で武器の手入れをしていたが、自然と手が止まって別の事を考えていた。
セシルの事だ。最近セシルが自然と笑っている所を見る機会が減ってきている気がするのだ。
辛くても大丈夫だよと言って笑う姿ばかりを目にする。
セシルは心配させまいと笑顔を作っているのだろうが、俺にはそれが逆に痛々しく見える。
心の底から嬉しそうに笑うセシルが見たい…
『フリオニールッ!!』
『うわっ!?』
急に後ろから聞こえたティーダの声に吃驚して手に持っていた剣を取り落とす。
『な~にぼんやりしてるんだよ?何度も呼んでるのに気がつかないし』
見上げるとブリッツボールを脇に抱えて仁王立ちするティーダの姿があった。
『……すまない』
『セシルの事でも考えてたっスか?』
『え、いや、あっ……』
ズバリ指摘され動揺してしまった。
『わかりやす過ぎ……で、いつになったら告白するっスか?』
『!!??』
ぷしゅ~っと湯気を立てて気が遠くなるのと、顔が真っ赤になっているであろう事は自分でもわかった。
『ティーダ、あまりいじめてやるな』
クラウドの声が聞こえた。
『クラウドも内心ではさっさと告白しろって思ってるっスよね?』
『…………まぁ』
少し言いにくそうではあったが、頷いていた。
『それで、何悩んでるっスか?』
ぐっとティーダが俺の顔をのぞき込んで来た。
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『お?セシルの方から相談に来るとは珍しいな。かなり深刻?』
『う、うん……本当にどうしたらいいのかわからなくて……』
のんびりと中庭で惰眠を貪っていた時に訪れたのはセシル。
同い年と言う事もありお互いに良き相談相手だったりする。
ただし、セシルの方から相談に来る事は珍しく、今回は特例中の特例だろう。
このセシルの表情は解決の糸口が見つからなくて完全に出口を見失っているパターンだ。
『で?』
『それが……』
言いにくそうに口ごもりながらポツポツと紡ぐ言葉に耳を傾ける。
『成る程な』
言い終えた後もすっきりしなくて沈んだままの表情のセシルの顎に手を掛け紫水晶の瞳をのぞき込む。
『セシル。おれと付き合ってみる?』
『え、ちょっと?!』
困惑した顔で逃げようとするので腰に腕を回して引き寄せる。
『おれの事、どう思ってる?』
『ふ、ふざけないで!』
押し返そうとおれの胸に手をつき力を込めるが、その腕がかすかに振るえている。
後もう一押しか?
『ふざけてないよ。はなからおれは本気だよ?』
『ま、待って…』
『ヤダ』
そっと顔を近づけ……
『イヤだッ!!』
思い切り叫んでおれを突き飛ばすとその場に力なく座り込んでしまった。
一方おれは突き飛ばしてくるのはわかってたので数歩下がるだけでその場に立ち止まる。
『さ~て、ここで質問だ』
声を掛けた瞬間ビクっと肩を震わせ見上げてくる。
目尻にうっすらと涙が溜まっているのが見えた。
あ、もしかしなくてもやりすぎた? でも、ここまでやっちまったから引き返せないよなと自分で納得して続ける。
『おれがキスしようとした瞬間誰かの顔が浮かばなかったか?』
『え!?』
不思議そうに目を丸くしている。
『セシルはそいつに恋してんの、わかる?』
『なッ?!』
驚いてたかと思ったら次の瞬間には顔を真っ赤にして俯く。
そこまで言わないと本当に気がつかないのな。
他人の気持ちにはもの凄く敏感なくせに、自分の事となると全く気がつかないんだから。
『もやもやしてたのが一気に吹き飛んだだろ?』
『だ、だからって、あ、あんな事…』
『言っただけでわかるか?鈍いんだからさ』
ぺろっと舌を出す。
『も、もし突き飛ばせなかったら……』
『んー、しちゃってたかもな。うん、間違いなく』
ま、ちょっと期待してたんだけど?って言ったら案の定「バカバッツ!!」という言葉と同時に平手打ちが飛んできた。
『ってぇ!!』
『もう、ホント信じられない!!!』
頬を膨らませてぷいっとそっぽ向く。
『な~んか凄く良い音してたっスけど、セシルに変な事してないっスよね?』
振り向くと何時の間にやらやってきたのかティーダとクラウドとフリオニールが立ってて、それぞれおれを睨み付けていた。
『一応、言い訳位は聞いてやらなくはないが?』
『ちょっとマテ、クラウド!!目がマジで怖いんですけどー?!』
しかも、愛用のバスターソードを肩に担いで、マジだ、マジでやる気だぞ!!
本当にセシルの保護者らはセシルの事となると仲間であろうと容赦ないんだが?!
2→←4な24710+5です。大体相談する相手は2は7と10、4は5です。
バッツさん、まだグーじゃなかっただけましだと思ってください(笑)