目を覚ますと澄んだ真っ青な真夏の空の様な色をした瞳と目が合った。
暫くそのままなんて綺麗な色なのだろうと思って見ていたらフサフサした立派な鬣が見え……

――……ぇ?
――ら、ラ、ラ、ライオンー?!

吃驚してそのまま部屋の隅まで逃げた。
ただ、余りに勢いが良すぎたからごっつんと壁と正面衝突してしまい鼻を思い切りぶつけた。

――うぅ……

泣きながら鼻を押さえてたらライオンが背後からのそっと迫って来ていた。

――ひぁっ?!
――や、来ないでッ!!

身を縮め震えるしかなかった。
逃げられない!!
ぎゅっと目を瞑る。

『こーら、スコール、何してるんだ。セシルが恐がってるじゃないか』

声がした方を振り向くとバッツがドアに手を掛けて立っていた。
スコールと呼ばれたライオンは暫くじっとこっちを見ていたのだが、やや間を置いて後ろを向いて部屋を出ていってしまった。
バッツは僕の前までやってくると頭をよしよしと言って撫でてきた。
触れられた瞬間肩を強ばらせた。
やっぱりまだ慣れないみたい……

『吃驚させてごめんな?スコールには不用意に近づかない様に言い聞かせておくから』

『……あのライオンも、僕みたく保護、したの?』

恐る恐るバッツを見上げる。

『いや、スコールは生まれた直後からおれが育ててるんだ』

『そうなんだ…』

バッツは無言で僕を抱え上げるとベッドの上に乗せてくれた。

『セシルはやわらかいな…ふかふかだし、温かい』

そう言って急に抱きついてきたバッツを支えきれるわけもなく、そのまま後ろに転がるように倒れる。

――!!!!

僕の上にのしかかる様に倒れてきたバッツをどうにか退かそうと力を入れて一生懸命押しても全然動いてくれない。

――やっ、退いて!!

兄さん、助けて!!
じたばたもがくもどうにもならず、結局このままの体勢で一晩過ごす事になってしまったのだ。

セシウサギがスコライオンとご対面です。
セシルよ、何処まで臆病なんだ…
因みに、次の話は一気に展開が変わります。
元々ほのぼのした話じゃないのでほのぼのタイムは此処まで。